吉川文代 プロフィール

千年の都といわれる日本の古都、京都に生まれ吉川文代は、幼少時から歴史的建造物、伝統工芸品などを身近に感じながら育った。
吉川は子供の頃、母に連れられ京都は浄土寺にあった祖父の家をよく訪れた。おそらく祖父の家にかかっていた掛け軸が物心ついて初めて見た墨絵ではなかったかと吉川は言う。骨董好きの祖父はよく骨董市で買ってきた品々を幼い吉川に見せたり、東寺や北野天満宮などの大きな骨董市にも連れたりもした。そんな幼い頃の経験が、古き良きものを慈しむ心を芽生えさせたせいか、吉川文代は1983年京都教育大学に入学し、日本美術史、東洋美術史とともに、伝統的絵画技法を学ぶ。
また、吉川の父は美術大学に入学後、普通大学に転向、化学を専攻し化学薬品会社に就職した。彼の多くの研究が会社名義で特許を得ている。父の美術的感覚と科学的・論理的思考の影響を受けたせいか、吉川は、常に文化的な事象の中にも科学的根拠を求める性癖を持つ。
京都教育大学在学中の1985年に公募展、京都市美術展に入選以来、多くの全国美術選抜展に入選し、美術館での展覧会や主要老舗美術画廊でのグループ展で作品を発表するようになり、1987年に卒業して間もなく、京都を中心に近畿圏一体の職業日本画家による美術協会である、京都日本画家協会の会員に推挙され、以後会員として籍を置き日本画家としての活動する。その後も京都に拠点を置きながら、東京都美術館、京都市美術館を始め、東京、京都、大阪、神戸などの主要美術館や美術画廊で数多くの選抜展、グループ展に出品、東京銀座での個展も果たしている。
また異なる文化の独自性や相互関係にも大いなる興味をもち、しばしば日本国内外の津々浦々に出かけてゆき、各地の文化や美術を学ぶ。なかでも中南米の古代文明と東アジア文化との相似点をみつけ、その文化に強く魅せられ、グアテマラに約一年滞在しながらマヤ文化の取材をもとに作品を制作し、グアテマラの古都アンティグアの、サントトマス大学で個展を開催するなどしている。
2004年にサンフランシスコに移住して以来、アメリカの美術の要素を吸収しながら、日本伝統絵画法である日本画と墨絵の技術や哲学を組み合わせた独自の絵画法による絵画を制作、発表している。主な取り扱い画廊に、サンフランシスコ現代美術館アーティスト画廊、カラアートインスティトゥートなどがある。2013年以降、アメリカ墨絵協会会員、2014年の選抜展では書道部門で入賞。2015年にはアラメダカウンティー(バークレーなどを含むサンフランシスコ東部の広域行政区)により吉川の作品5点が買い上げとなる。(この年、応募者427名3400点の作品のなかから51名の124作品が買い上げとなった。)
またサンフランシスコアジア美術館、サンフランシスコ日本領事館、北アメリカ日米協会、コロラドメサステイト大学などを含む多くの公共・教育機関において、実演、作品の展示、講義などをとおして子供からお年寄りまで、幅広い層に、墨絵や書道を中心に日本美術や文化を紹介、教育活動にあたる。現在、サンフランシスコイーストベイのアルバニーに夫と娘とともに住み、アルバニーコミュニティーセンター、ウォルナットクリークシビックアーツなどで常に墨絵と書道を教えてもいる。